2010年10月3日日曜日

63.教材作りと宮沢賢治の詩

日本語科主任教授のDr.Niwaに信頼された為かどうかは分かりませんが私は教材作成にも手を貸すことになりました。まず学期の途中でそれ迄に生徒が学習した基本構文のみを使って正しい自然な日本語の文章を作ってほしいと言うものでした。私は中学・高校時代には大の作文嫌いで、夏休みの宿題に作文が出るとそれだけで夏休み中悩み、国語の先生を恨んだものです。どうやっても2・3行以上筆が進まないのです。そんな私がこともあろうに教材を作ることになったのですから正に青天の霹靂です。しかし人間とは恐ろしいもので信頼され、期待されていると思うと不思議な能力が出てくるのか、又は、使える基本構文が限られていた為か1・2時間で自分でも感心してしまうような無理の無い自然体の日本語文章ができあがったのです。Dr.Niwaの評価も高くそのまま教材として採用されたのです。

暫くすると今度は語学ラボで生徒達が聴く日本語の音声テープの作成に携わることになりました。宮沢賢治の長い詩「雨にも負けず、風にも負けず・・」の朗読を任されたのです。
私の朗読が録音され、それを語学ラボで日本語を学ぶ生徒達が何度も何度も繰り返して聴くことになるのですから大任です。私は自分の声がいいと思ったことなど一度もありませんでしたので何故こんな大役を任されたのか分かりませんでしたがやるしかありませんでした。

視聴覚教室のスタジオには本格的な録音室があります。録音室のマイクの前に座ると横に副主任のM子先生が座って録音機の設定をし、私にスタートの合図を送ります。緊張が高まって心臓がどきどきします。宮沢賢治の「雨にも負けず、風にも負けず・・」には難しい言葉は含まれていませんが結構長いのです。初めから終わりまでペースを乱さずに朗々と朗読するのが実に難しいのです。途中で息切れがしてペースが乱れたり、ちょっとした句読点で言葉が詰まったり、似た単語を読み間違えたりしてなかなかOKが出ません。結局6回ものNGを出してしまったのです。録音が無事終了した頃にはもうふらふらでしたがこの貴重な経験が後にアルバイトで広告映画のナレーションを担当した時に非常に役立ったのです。

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