2010年12月9日木曜日

69. 新しい友との出会い

物理科の2年後輩に一人の日本人がいました。留学生仲間ではなかったので多分日系二世だったのでしょう。その彼が物理の階段教室に良く彼女を連れて来ていました。なかなか可愛らしい彼女です。名前も知りませんでしたが一寸気になる女性でした。彼女はアートを専攻していたのですがボーイフレンドに会いに物理科の教室に来ることがあったのです。一度だけ階段教室でその二人が私の横に座ったことがありました。その時彼女が手に持っていたバナナを一つ私に差し出して「これ食べる?」と言ったのです。そんな彼女が後に遊び仲間になるなどとは思ってもいませんでした。

話し変わって留学生活も2年目に入った頃あるアメリカ人の方が日本人留学生の憩いの場所として大学近くのかなり大きな邸宅の地下室を提供してくれることになりました。かなり広いスペースでしたが少々手入れをしなくてはなりませんでした。私もシアトル滞在2年近くなると日本人留学生の中でも何かしなければならない立場になってきていました。大工仕事が好きでしたので天井の隙間などを修理する手伝いをすることにしました。天井の一部に三角形の隙間がありました。私はその三角形にあわせてベニヤ板を切り、そこのパッチングを始めました。それを横でじっと眺めていた人物がいました。それが後に親友となったスキーの上手いJ氏との最初の出会いでした。後で聞くと三角形の穴を埋めるのには大きな板を被せれば済むのになんて細かいことに手間をかけているのだろうと思って見ていたのだそうです。良く考えれば至極ごもっともなことです。

その日本人留学生達の憩いの場所となった地下室の壁に男子学生達がピンアップ写真を貼りました。ピンアップ写真と言ってもビキニ姿の女性の写真であってヌード写真ではありません。ところがある日一人の女性が入ってきてこんなものはけしからんと言って我々の承諾の得ずにピンアップ写真を剥がして行ったのです。一年目の冬あのクリスマススキー合宿で出会ったスキーが好きなS子でした。

同期の学友達が去って行った後に上の三人と次第に仲良くなっていくことになりました。黒人街のダンスホールに一緒に行ったY女史が彼女の家で集まりを開いた時に私はJさんを誘いました。そこにはたまたま物理学階段教室で顔を知っていた例の彼女が参加していました。彼女がTさんというのを知ったのはこの時でした。それ以後大学で顔をあわせると言葉を交わすようになりました。Jさんの誘いでスキー好きのS子も誘って4人でスキーにも行くようになったのです。

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