2010年12月9日木曜日

71. シボレーのコルベア

親しくしていた同期のN氏が一時帰国することになり彼の乗っていた車を預かることになりました。それはシボレーのコルベアでした。パワーステアリングでしかもマニュアル車ではなくAT車でした。当時学生達に人気があったのはコンパクトカーであり、フォードのファルコンとこのシボレーのコルベアでしたので急に裕福な留学生になったような気がしました。あまりにも軽快に動くコルベアに慣れると偶に自分のぼろ車を運転する時にハンドルが重くてカーブしきれないことがありました。

N氏の帰国期間が長引いた為に私はかなり長いことこのコルベアを私の愛車のように使うことが出来ました。使い出して間もない頃、日本から文化使節団の一員としてワシントン大学にみえていた若い女性から電話が掛かってきました。「素敵な車をお持ちのようですね、自動車の運転免許を取りたいので練習用に使わして貰えないかしら」というのです。借りているものを又貸しするわけにはいきません。ましてや未だ運転免許証を持っていない人に貸すなどはもってのほかです。「私のぼろ車ならお貸ししましょう」と答えるとあんなぼろ車ではいやだとおっしゃって私を困らせます。私も借りている車を貸すわけにはいきませんでしたので丁重にお断りし続けました。それ以後その彼女は私と出会うたびに私ことを「意地悪爺さん」と呼ぶようになりました。後に有名になられた方ですが良家に育てられた30才前後のお嬢さんでしたのでそんな態度をとられたのでしょう。

仲良しのJさんとTさんが婚約をした時にはこのコルベアで後に私の家内となったS子と四人でオレゴン州のボネヴィルと言う温泉地に一泊旅行に出かけました。軽快な車でのドライブは楽しいものでした。この車を借りていられる間は私本来のぼろ車に乗る気にはなれませんでした。

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