2010年12月22日水曜日

76.シアトル在住日系移民の歴史を学ぶ

ハウスボーイを辞め大学近くの下宿生活に戻った頃、先輩のUさんはワシントン大学社会学科のシアトル日本人移民の歴史を編纂するプロジェクトで日系人家族を戸別訪問して調査するお手伝いをしてみえました。そのUさんからこのアルバイトを続けられなくなったので後を引き継いでもらえまいかと声をかけられました。興味ある内容でしたし時間的余裕も出来たことでしたのでお引き受けすることにいたしました。
プロジェクト担当の日系人教授から手渡された調査資料には一戸分の調査項目が数ページに亘ってぎっしりと詰まっていました。「イエス」か「ノー」かで簡単に答えられるものはあまり無く、一つ一つ丁寧に話を聞いて文章でまとめなくてはならない項目が多かったのです。アルバイト代は一戸当たりの定額謝礼金とガソリン代です。
このアルバイトが大変であることが分かったのは調査を始めてからです。まず訪れても留守で何度も出直さなければならないケースが非常に多かったことと、在宅していてもドアを半分開いて用件を聞いたとたんに「お断りします」と拒絶反応を示す家庭があったりして調査はなかなか捗らないのです。中には反対に「どうぞ、どうぞ」と言って私を家の中に招きいれ、調査に関係の無い昔話を長々とされるお年よりがいたりします。昔話が長引いて肝心の調査が一回の訪問ですまないケースも出てきました。
もらえる謝礼の割には時間のかかる割の合わないアルバイトです。10家族ほど調査を終えたところで我慢できなくなりやめることにしました。短い期間でしたが学んだことは多かったと思います。

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