2010年12月22日水曜日

75.日本人の海外移住の歴史

日本人の海外渡航は、明治維新(1868年)とともに始まりました。始めは政府の許可や旅券を受けることなくハワイやグアムへ出稼ぎ労働者として日本を出国したのだそうです。その後、幾多の紆余曲折を経てラテンアメリカへの日本人渡航が盛んになり、そして20世紀初めには、北米へ多数の日本人学生が渡航しました。サンフランシスコ、シアトル、ポートランドなどで仕事をしながら英語を学び、学校へ通ったのです。私がしたのと同じように白人家庭に住み込み、食事代と部屋代を免除してもらい、小額の小遣いを受け取るかわりに、料理や掃除、洗濯など行い、昼間の空いた時間に通学したということです。
また一方で、農園などで働く出稼ぎ労働者も数多く合衆国やカナダ西部に渡り、やがて日本人人口の急激な増加が白人の人種的恐怖心を煽るようになり、1924年に合衆国は日本人移民入国を禁止するようになりました。1924年以来、日本人に門戸を閉ざしていた合衆国も、戦後、まず日本人「戦争花嫁」の入国を許可し、さらに1952年には少数の日本人の入国を認めるようになりました。そののち合衆国国内の公民権運動の高まりとともに、私の留学中の1965年には白人中心主義に基づいた移民政策を撤廃し、日本人移民への差別的入国制限がなくなりました。
このような歴史があって私が留学した時、シアトルには確りした日本人コミュニティが存在していました。銭湯も、碁会所も何軒かの日本式レストランもありました。夏には盆踊りも盛大に行われていたのです。
私はひょんなことから、このシアトル日本人移民の歴史を調査するお手伝いをすることになったのです。

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