2010年12月22日水曜日

78.アインシュタインは例外だ!(夢半ばの挫折)

3回目の春学期で物理学部卒業に必要な最期の科目を無事履修し終わった私は直ちに大学院理論物理科の主任教授のもとを尋ねました。主任教授は一寸細身なところを除けばアインシュタインそっくりでした。私の大学院で理論物理を専攻したいという希望を聞いた教授は私の学部(Undergraduate)の成績を見るなり「大学院で理論物理を専攻するのはアンダーグラジュエイトでの成績がほとんど“A”の学生なんだよ」と言い出しました。ここで引き下がるわけにはいきません。「かのアインシュタインはそんなに良い成績ではなかったように聞いていますが」と言うと「アインシュタインは例外だ。」とのたまいます。

あれこれやり取りが続いた後、教授が「ではマックスウェルの電磁気学について述べてみなさい」と言い出しました。勿論古典物理学の重要理論であるマックスウェルの電磁気学は知らないわけは無いのですが突然の口頭試問は予想していませんでした。知っている限りの知識を絞って説明を始めると何とか諦めさせようという意図があったのか鋭い質問を次々と浴びせてきたのです。教授は少し訛りがあった上早口でしたので質問をすべて正確に理解できていた自信はありません。時間がとても長く感じられましたが最期まで大学院での理論物理専攻の許可はもらえませんでした。 私の計画が挫折したのでした。

当時ワシントン大学の大学院数学科で私に[Measure Theory]の個人指導をしてくれていたスウエーデンから来ていた若い客員助教授にこの話しをすると「若者が勉強したいというのを許可しないのは間違っている」と言ってひどく憤慨してくれましたが大学の結論を覆すには至りませんでした。

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