バンクーバー停泊中の日令丸は積荷の関係で数日は出航できないことが分かりました。シアトルまでは<グレイハウンド>バスを使えば数時間で行き着ける距離です。はやる気持ちで荷物は船がシアトルに着いた時点で港まで取りに行くことにし陸路シアトルに向かうことにしました。シアトルまで日令丸で行くことになったR嬢や親しくなった船員たちに別れを告げシアトル行きのバスに乗り込みました。 <グレイハウンド>バスは冬季雪の上でもチェインを着けずに走るような重量のあるバスでそのエンジン音はかなりけたたましいものです。かなり英語のヒヤリングには自信を持っていたのですが早口でしゃべる運転手の声はエンジン音と走行音にかき消され何を喋っているのか理解出来ません。バンクーバーを発ってしばらくするとカナダと米国の国境となります。そこでバスの運転手が外国人乗客に対して何か注意事項を述べたのですが聞き取れません。ままよ、なるようになれとばかり無視することにしました。実はこれが後になっていろいろな法的手続きをしなければならなくなるとは思っても見なかったのでした。
数時間後バスはシアトルのダウンタウンにあるバスターミナルに無事到着しました。さあ、これから一仕事、ワシントン大学の留学生担当事務所に電話をしなければなりません。バスターミナルの公衆電話から外国での初めての電話です。緊張の瞬間でしたが以外にも受話器の向こうから聞こえてきたのはやさしい女性の声でした。流石に留学生担当だけあってゆっくり丁寧に話してくれたのでよく理解出来ました。名前を告げるとすぐ書類を調べたらしく「あなたのホストファミリーのミセス・デイビッドソンが迎えに行くから動かないでそこで待っていなさい」言います。
小1時間も待ったでしょうか、すらっとした黄色いワンピースを着た年のころ35・6才の金髪女性が声をかけてきました。でした。
彼女の乗ってきたのはハリウッド映画に出てくるような黄色のコンヴァーティブル車(フードが開くオープンカー)でした。私を助手席に座らせると勢いよく走り出した車はダウンタンを過ぎ間もなくフリーウエイに入りました。未だ日本には100キロ以上のスピードで走る事の出来る高速道路などがなかった時代でしたのでフリーウエーですれ違う車の耳を劈く様なヒューン、ヒューンという音には圧倒されっぱなしでした。快晴だったせいかミセス・デイビッドソンの金色のネッカチーフが風になびいて眩しかったので「シアトルは何時もこんな天気なのですか?」と聞くと「こんな天気はめったにないわ。きっとセイジン、あなたを歓迎してのことだわ」と言われました。デイビッドソン宅はワシントン湖の対岸ベルビューにありましたがフローティングブリッジ(浮き橋)を渡って30分ほどで到着です。
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