2010年6月24日木曜日

25.無知なアメリカ人、無知な日本人

日本人ならほとんど誰でもアメリカのことを知っています。大統領が誰で、首都はどこで人々が何語を話しているかという事ぐらいはです。ところがアメリカの人は親日家でもない限り日本のことをあまり正しくは知っていませんでした。日本の首相の名前を知っている人はまずいません。アメリカに行けば世界地図の中心は日本ではありません。東のはずれに小さく載っているだけでありまさに日本は極東なのです。

留学して間もない頃ワシントン大学の大学院の学生に「日本では未だ紙の家に住んでいるのですか?」と訊かれエッ冗談でしょうと思いました。又、ある時教会の牧師の家に食事の招待を受けた時です。「日本人は未だ皆着物を着ているのですか?」と聞かれました。そのうちに牧師はニューヨークの話を始めました。ニューヨークは高層ビルが沢山あり、地下には電車が走っているのだよと説明を始めたのです。地下鉄の話でした。日本に何十年も前から地下鉄があったなどということは想像も出来なかったのでしょう。地下鉄を見たこともない人にどうやって説明しようかと言う態度でした。日本にも地下鉄があるとはよう言い出せませんでした。

ある時シアトルの名門高校に社会科の一日講師として招かれました。私の講義が終わって生徒からの自由な質問の時間となり一人の生徒が手を上げました。「Geishaのことを説明してください」と言ったとたん横に控えていた社会科の先生が「その質問はだめ。」と言ったのです。社会科の先生がこんなでは日本のことを正しく理解できるわけがありません。

勿論日本のことを驚くほど良く知っている人にも出会いましたが短期間の内に日本に関してこれほどまで低レベルな知識しか持っていない何人もの知識人に出会ったことが驚きでした。ただその内に面白いことに気が付きました。日本を侍の国と思っているような物理科のクラスメートが「ゼロ戦はすごい戦闘機だった」とか「Canonのカメラは素晴らしい」とか言います。又、仲の良かった学友のボッブはアンプを製作して売っているほどのオーディオ狂でしたがSonyのアンプをテストしてあまりに性能が良くて吃驚したと言っていました。
すなわち彼らの頭の中には古い日本と技術的に優れた近代日本が同居していて一つに統合されていないのです。

こういうことがあって私はある留学生の集まりで司会者に「アメリカに来てから何か気が付いたことは?」と聞かれ「日本のことをよく理解していないアメリカ人が多いのにびっくりしました。」と答えたのです。するとインドから来た留学生が立ち上がり「そうかもしれないがそれでは君たち日本人はインドのことをどの位しっているのかね?」と言ったのです。そうです当時私がインドについて知っていたのはガンジー、ネール、それにタージマハールくらいのものでしたのでぐうの音も出ませんでした。自分たちより進んでいる国には注目するが後進国に対してはあまり知ろうといていない自分に気が付いたのです。まさに無知なアメリカ人、無知な日本人なのでした。

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