2010年7月20日火曜日

43.ガードニング

リチャードソン夫人は子供がいなかったせいか草花が好きでした。ハウスボーイになった厳寒の2月に家の前庭の周りにパンジーやペチュニアの苗を植えるように言われました。霜の降りている土に小さなシャベルで穴を掘り、苗を植えてゆくのですが大邸宅でしたのでその面積たるや大変なものです。鼻水を流し流しの作業です。終わる頃には熱が出てきました。そんな時リチャードソン夫人は「これでも飲んでいれば治るわ」と言ってアスピリンを手渡すのが常でした。

裏庭の一部は薔薇園のようになっていていろいろな色の花をつける薔薇の木が植えられていました。この薔薇園の手入れが又大変なのです。適当な時期に肥料を薔薇の木一本一本にかけるのです。リチャードソン夫人が買ってくる肥料は魚の腐ったものから作られているらしく入れ物から出すと物凄い悪臭で卒倒しそうになるのです。それをゴム手袋をして薔薇の枝の芽が出そうな部分にぬりまくるよう言われました。いくらゴム手袋をしていても体の周りにしみついた匂いはなかなか取れないのです。食事も喉を通りません。

天気の良い日の芝刈りも大変な仕事です。何しろゴルフ場の中にある家なので自分の家の庭とゴルフ場のコースとの区別がつきません。どこまで芝生を刈ればよいのか実に悩んだものです。又、垣根の潅木のトリミングは素人には難しいものです。リチャードソン家の垣根の潅木は私の背丈より少し高いぐらいでしたのでトリミングなど難しくなかろうと始めました。半分ほど枝を切り落としたところで少しはなれたところから見てみると高さが揃っていません。いけないと思い一番低く刈り込んだところに合わせて出っ張っていると思われた部分を切り込みまた離れてみて見ると今度は切り込んだ部分が凹んでいて垣根の高さが一定していません。そこでまた今度は高い部分をトリミングします。また離れてみるとまだ高さが一定していません。こんなことを繰り返しているうちに気がつくとブッシュは丸裸になってしまっていました。さすがにリチャードソン夫人には切りすぎだとお小言をもらいましたが後の祭りでした。

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