2010年6月16日水曜日

16.下宿の同居人ポールとウディー.

私が入居した時には既に他の二人の下宿人が入っていました。一人は香港からの留学生Paul Luさん、もう一人は黒人のWoody Cornerでした。ポール(Paul)は誰から私のことを聞いたのか新入生のオリエンテーションプログラムの時から愛想良く話しかけてきてはいろいろと親切に教えてくれていた人物でした。同じ屋根の下に住むようになるとは思ってもいませんでした。彼は数学科の大学院生で将来の大学教授を目指して勉強している真面目な留学生でした。ポールは時々リーダー(leaderではなくreader)の仕事を回してくれたりしました。
リーダーというのは教授が生徒から集めた宿題を優秀な学生に採点を任せることでリーダーとなる学生にとってはなかなか良いアルバイトとなっています。一方ウディー(Woody)はアラビアンナイトのアラジンがランプをこすった時に現れる黒人の大男のような風体でしたが頭がよくGPAが3.9でした。GPAというのはGrade Point Averageの略で成績を数値化したものです。A(優)は4点、B(良)は3点、C(可)には2点が与えられ履修した全科目の平均値で表示されるもので例えばAを2つとBを2つ取った時点では4点+4点+3点+3点を4で割りGPAは3.5となるのです。もしオールAを取ればGPAは4となりますが大学入学から卒業まで全ての学科でAを取ることは至難の技であり、そんな生徒が現れると新聞に大きく報道されます。

日本のある大学では生徒の半分近くに優をつける教授が多いと聞きますが我がワシントン大学では生徒の成績は相対評価で付けられ25人前後のクラスでAを貰えるのは多くて3人ぐらいです。少なくとも私が受講した物理、数学、外国語のクラスではそうでした。さて話をウディーに戻しましょう。彼は心理学を専攻していました。GPA3.9と言うことは殆どの履修科目でAを取っていると言うことです。その彼が最初に涙ながらに話してくれた言葉は忘れられません。「俺はミセス・ジェイコブスンに恩を感じている。理由分かるか? 俺はこの部屋を借りるまでに54軒の下宿で入居を断られた。二グロと言うだけの理由だ。新聞で貸し部屋の広告を見て電話すると未だ空いていると言われる。出かけてゆくと顔を見たとたんにすまない今しがた他の人に決まってしまったと言うんだ。54軒もだよ。そんな偶然てあるとおもうか?表面では平等平等と言っていながらこれがアメリカの人種差別の実態なんだよ。」私は後にこれよりひどいトルコ人に対するドイツ人の人種差別を目にしたことはありましたが信じられない思いがしました。最もこの年ミシシッピー大学で黒人の学生が入学するのに反対する大規模な暴動が起こりアメリカ中が大騒ぎになる事件が起っています。50年近く後に黒人のオバマ大統領が誕生するなんてことは正に隔世の感があります。

2 件のコメント:

ぼくあずさ さんのコメント...

生まれ育った環境により、物の考え方は違って来るのでしょうが、頭の良さは肌の色と無関係なのですかね。黒人故に下宿の入居を断られるのは、家主からすれば当然のことですが、差別される黒人にとっては辛いことです。処で、貴兄の下宿に何故黒人が受け入れられたのでしょうか?家主が被差別白人であったのでしょうか?それとも経済的な理由でしょうか?

SEIJIN さんのコメント...

下宿の女主人ミセス・ジェイコブスンさんは人種差別をしない気骨あるおばあさんでした。